食品の良し悪し

こちらでは食品が安全かどうかを判断するとき、日本のようにその食品が国産で、無添加で、造りたて(取れたて)であれば安全という判断はしません。例えば日本では卵を購入する際にパッケージを開封して目で確認することなどしている人は皆無です。しかしこちらでは、写真にあるUSDA(United States Department of Agriculture:米国農務省)が定めた品質(AA)である卵であっても、パッケージの中で割れていることや変色していることがよくあり、自分の目で確認しないと危うく“ハズレくじ”を引くことになります。また、日本人の大好きなオーガニックであっても、現地の日本人曰く、「その真偽は不明。」とのことなのです。さらには品質のいいと評判のスーパーであっても古くなって真っ赤な目をした魚やドス黒いマグロの切り身が普通に売られています。のみならず魚の鮮度が落ちるのを少しでも防ぐために防腐剤を使用しているせいか店内にそのツーンとした匂いが染みついているアジア系スーパーもあります。魚の街、石巻では考えられなかったことですがこちらではありなのです。重要なのは、自分の目で見て自ら判断することなのです。自分の身は自分で守らなければなりません。私が日本を経つころに、仙台近辺でお役所がらみの食品表示セミナーたるものが競って開催されました。食品表示の見方を教えるのもいいですが、食品そのものが腐っていたら元も子もありません。五感をフル活用した食品の見分け方を教えてくれた方が“現代”消費者のためになります。食品表示という単なる文字情報に甘やかされ、国産商品やオーガニックに過度の安心を見出した結果、自分で食品の良し悪しを判断できなくなったことは悲しいことです。