ボスとの別れ

1年間お世話になったボスのKathryn教授とお別れの時が来ました。

彼女は、ミシガン大学で22年もの長い間教鞭をとった後、UTDにスカウトされダラスに来ました。

経営工学や生産システムの分野で学会理事など多数のポストを兼務している重鎮です。彼女はいつも研究室の前を通っては、「タマキ、調子はどう?」と声をかけてくれました。ユーモアがあって話好きでいつもチョッカイを出してくるボスですが、その半面、研究に対してはすごくシビアで英文法の一字一句を細かくチェックされましたし、曖昧な英単語を使うと怒られました。私が研究に行き詰まっているところをみて、そっとメールで「I recommend just “looking at and thinking about” the data. What possible results would be unexpected and interesting to the world?」とアドバイスしてくれたことはうれしいことでした。

私が大学院の修士の学生だったころ、当時の指導教官であった東北大学の安田一彦先生と全く同じことを言うのは、さすが世界をまたにかけて戦う学者です。自己満足でしかない研究が氾濫する中で、「誰のため、何のための研究なのか?」、深く、深く考えさせられました。

彼女の授業で毎回紹介する日本の企業や生産システムについて日本人としてコメントを求められることは、本当によい英語の修行になりました。「知らない!」では済まされない緊張感を持った授業は、学生に戻った気分でした。

彼女の下で学んだ授業のノウハウや世界ベースで研究するための視点と意地は本当にこれからの長い研究・教育人生の糧となると断言できます。また渡米の手続きや現地での生活をサポートして頂いた秘書のSophiaさん、Human Resource Management職員のKellyさんにも大変お世話になりました。

UTDでのこの1年の経験は何事にも代えがたい人生の宝となりました。皆さまご指導どうもありがとうございました。